暗記は悪いことなのか?

勉強の要点

「暗記=無意味な知識の詰め込み」というような思い込み(?)が世の中に広がっている気がします。

学習指導要領の内容が思考力・判断力・表現力重視の方向に変わったことが大きな要因ではあると思います。

辞書的には、暗記とは『文字・数字などを、書いたものを見ないでもすらすらと言えるように、よく覚えること。』となっています。

また、暗記は機械的記憶と同じ意味ということで、「暗記=意味も分からずに覚えること」と広く認識されているのではないでしょうか。

知識を覚えるという暗記がなんとなく悪者になっている状況はどうなのかなと個人的に思っています。

学校では、知識・技能という土台をしっかり作り上げ、その上に思考力などを積み上げるはずなのに、知識・技能への比重は相対的に小さくなっています。

実際には知識・技能の習得する絶対量は増えているのに、それに対応できる子どもと追いつけない子どもとの学力格差が広がっている。

それを学習塾が補完しているという現状もあると思います。

率直に言って、知識や技能が十分でない子どもたちは思考力・判断力・表現力を伸ばすことは難しいと感じています。

特に小学生や中学生のうちに多くの知識を習得し、基本的な技能を身につけていなければ、高校、大学、あるいは社会に出てから自ら学ぶということが困難になるでしょう。

学校の成績がよくなかったという人でも社会で成功できるという意見がありますが、そういう人たちも実際は豊富な知識と高度な技能を自然と身につけていることが多いです。

暗記というのは、意味のないことを覚えるのではなく、一つ一つの事柄を理解して、他の事柄と関連付けて覚えていくことだと思っています。

実際に教科書に載っている事柄は意味がないものは一つもありません。

すべての事柄が勉強や学問をする上で関連したものであり意味があるものです。

それを覚える、つまり、暗記することは当然のことではないでしょうか?

勉強する際に、語句自体の意味を理解する、語句の使い方を理解する、どの分野のどの単元のどの項目と関連があるかを理解してから暗記する(これは論理的記憶と言われている)。

これだけ深く理解していけば、わざわざ暗記する必要もなく、自然に暗記している状態になるはずです。

ただし、10歳までは機械的暗記=詰め込みが優位になっているので、理解してから暗記するよりは多少意味がわからなくても覚えさせるのには一定の効果があると考えられます。

昔の子どもは、意味が分からなくても古文や漢文などを暗唱させていたのは理に適っていたのだと思います。

だから、今でも音読や暗唱が成績アップにつながるのは当然なのかも入れません。

基礎的な知識をできるだけ多く暗記しておくのは、のちのち理解して覚えるための土台になります。

10歳までは機械的暗記、それ以降は論理的暗記が優位になるので、そのような特徴も考慮しながら、暗記する技術を磨くのは大切なことだと思います。

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