2025年度(2025年3月)岩手県公立高校入試から新たに特色入試が始まります。
「特色入試って大変そうだけど受験した方がいいの?」
「一般入試と特色入試の準備はどうすればいいの?」
など、特色入試を受験するか迷っている人も多いと思います。
受験機会が増える、合格可能性が上がるというだけで安易に受験せずに、お子さんの学力や状況、メリットやデメリットを検討して、慎重に受験を決めてほしいという願いを込めて書きました。
2025年度の岩手県公立高校の特色入試について
1.自己推薦である
2.部活動の実績を重視しない
3.選抜方法は高校側が自由に決められる
4.特色入試と一般入試は同じ高校のみ受験できる
5. 合否は特色入試、一般入試の順で決まる
6. 実施日程は1日目が一般入試、2日目が特色入試
個人的な見解ですが、1〜4は特色入試のメリット、5と6は特色入試のデメリットと捉えています。
上位校の特色入試のデメリットについて
ここからは、上位校の特色入試のデメリットについて説明していきます。
「5. 合否は特色入試、一般入試の順に決まる」について
盛岡一高や盛岡三高などの上位高校の場合は、一般入試である一定以上の学力のある生徒でなければ、レベルが高く進度が速い上位高校の授業についていけないからです。
上位高校の特色入試は、学力が少し足りないけれど、学ぶ意欲が高く、得意なものがある生徒、つまり「あと伸びする生徒」を獲得するためのものとしたほうがよい。
学力が身についているかを評価できるのは、調査書点より客観性が担保できる入試の学力点の方である。
そういう意味で一般入試で不合格になった生徒の中から特色入試での合格を出すのが良いと考えます。
「6. 実施日程は1日目が一般入試、2日目が特色入試」について
実施日程の変更は、これまでの推薦入試の合格者の多くが勉強しなくなるというのはメリットであると言えます。
しかしながら、特色入試と一般入試を2日間で実施するのはやはりデメリットの方が大きいと考えます。
合理的に考えれば、一般入試で十分に合格できる学力があれば、特色入試を受験をしようと考える人はほとんどいない。一方、一般入試で合格ボーダー付近の生徒であっても、特色入試の対策に時間をかけても確実に合格する可能性がないのに受験する人はそう多くはない。
体力的・精神的・時間的なことを考慮すれば、特色入試を受験するメリットはなく、デメリットしかないと思います。
盛岡一高の特色入試の選抜方法
⚫︎調査書[学習の記録](100点)
中学1〜3年の5教科の合計75点を100点に換算
⚫︎志望理由書(100点)
・評価の観点は以下の通り
これまでの取り組みへの主体性、積極性(50点)
入学後の活動に関する具体性、意欲(50点)
⚫︎プレゼンテーション(200点・45分)
①当日示されたテーマについて、自分の考えをまとめ、A3横判の資料を1枚作る。
②作成したA3横判の資料を使って、自分の考えについてスピーチする。
③スピーチの内容に関する質疑に答える。
④志望理由書の内容に関する質疑に答える。
時間は、①は25分、②③④は合わせて20分
・資料の持ち込み、映像の提示等は不可
・評価の観点は以下の通り
プレゼンテーションの組み立て、資料をまとめる技能(40点)
取り組みの主体性・内容の具体性及び独創性(80点)
思考力・判断力・表現力(80点)
盛岡三高の特色入試の選抜方法
⚫︎調査書[学習の記録](100点)
中学1〜3年の9教科の合計135点を100点に圧縮
⚫︎志望理由書(30点)
・評価の観点は以下の通り
主体性(10点)
協働性(10点)
リーダーシップ(10点)
⚫︎数学の口頭試問(80点・30分)
①当日示された数学の問題を20分かけて解く。
②自分の作成した解答についての発表と質疑応答を10分で行う。
・数学的思考力を問う応用的な問題を出題する。
・解答作成の過程や思考した内容についても評価する。
必ずしも解答にたどりつくことのみを求めるものではない。
・評価の観点は以下の通り
知識・技能(40点)
思考力・判断力・表現力(40点)
⚫︎面接(90点・10分)
・個人面接
・志望理由書に基づいて、主体性・協働性・リーダーシップについての資質を問う。
・評価の観点は以下の通り
主体性(30点)
協働性(30点)
リーダーシップ(30点)
特色入試の内容について
特色入試の内容を見ていくと、志望理由書の作成、プレゼンや口頭試問の練習、面接の練習、そして、一般入試の勉強を同時進行して行かなければならないことが分かります。かなりハードな内容で、合格するにはかなり入念な準備と練習が必要になりますね。
盛岡一高のプレゼンテーションの内容は当日知らされるので、教科書の知識だけでなく、日頃から幅広い分野に興味関心を持って自分なりに学んでおくことが必要になります。
盛岡三高の数学の口頭試問についても当日問題を知るわけなので、さまざまな応用問題の解き方を理解したり、練習する時間が必要です。
どちらにしても一朝一夕にできる内容ではありません。一般入試の勉強をしながら、特色入試の対策をするのは容易ではないことは想像に難くないでしょう。
こうなると、一般入試で得点を取るのか、特色入試の準備に時間をかけるのかは受験生にとってはとても悩ましいものになりますね。
このように、盛岡一高や盛岡三高の特色入試の内容は大変すばらしいものなので、個人的には簡略化した形でいいので、盛岡一高と盛岡三高の受験生全員に課してほしいと思うくらいです。
上位校の特色入試を受験するための条件
a)盛岡一高あるいは盛岡三高に合格したいという強い気持ちがある
b)一般入試でもなんとか合格できる学力がある
c)時間的、精神的に余裕がある
d)不合格であれば併願していた私立高に進学すると決めている
a)志望校に合格したいという強い気持ちは勉強する意欲を高めてくれるので、今はまだ合格点には届いていないが、頑張り次第で逆転合格するケースは多くなる。あきらめずに勉強に取り組んでほしいです。
b)合否判定は特色入試、一般入試の順に行われますが、特色入試で確実に合格できる保証はないので、合格ラインに到達していない場合、特色入試で不合格になれば、一般入試でも不合格になる可能性が高まります。まずは一般入試で合格できる学力を身につけてほしいです。
c)学力があっても時間的や精神的に厳しいと感じれば、お子さんにとっては大きなストレスになります。一般入試の翌日に特色入試が実施されるとなれば、1月は私立高校の入試の準備、2月は一般入試と特色入試の準備と、想像以上に時間と労力、ストレスがかかることを承知の上で受験を決めてほしい。
d)初めての入試で志望校から不合格通知を受けるのは中学生にとっては大人が考える以上に精神的なダメージが大きいものです。さらに、進学後まで不合格のショックを引きずって勉強に対する自信や意欲をなくしてしまうこともあるということを承知の上で受験を決めてほしい。
だからこそ、頑張れば何とかなるという精神論ではなく、現実をきちんと分析して、可能性はどれくらいかを冷静に判断してほしいものです。
志望校に合格することはすばらしいことですが、自分の学力に見合った高校に進学して上位の成績を取れた方が高校の勉強や生活が充実し、さまざまなことに興味を持てたり、挑戦したりする意欲が高まることもあります。
親御さんの希望もあるとは思いますが、ぜひともお子さんの気持ちを優先させて決断することを願っています。
志望校に合格することはすばらしいことですが、自分の学力に見合った高校に進学して上位の成績を取れた方が高校の勉強や生活が充実し、さまざまなことに興味を持てたり、挑戦したりする意欲が高まることもあります。
親御さんの希望とお子さんの希望を擦り合わせる機会をもって、納得して受験することを願っています。
◆滝沢進学塾では塾長の歳弘が高校入試や高校受験に関する個別相談に対応いたします。現状を把握し、論点を整理し、客観的な立場からアドバイスをいたします。個別相談は事前に日時をご予約ください。
◆滝沢進学塾では個別指導による盛岡一高と盛岡三高の特色入試対策を12月1日以降に実施する予定です。特色入試対策の詳細を近日中にお知らせします。
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