中学や高校の数学を指導していると、小学校の算数がよく分かっていない中学生や高校生が増えてきたような気がします。
「小学校の時に算数をきちんとやっていれば、中学や高校の数学でこんなに苦労しなかったのに!」とならないようにしてほしい。
重要単元というのは難易度別ではなく、「中学や高校の数学を得意にするためにしっかり身につけてほしい」という観点で滝沢進学塾塾長が独自に選定した単元です。
小学5年生は単元の数が多い上に、最重要単元の割合や速さなどがあり、中学数学や高校数学が得意になるかどうかの分岐点と言えます。
それでは、ここから小学5年生の算数の重要単元について説明していきます。
学期 | 単元名 | 重要度 |
1 | 整数と小数 | |
1 | 直方体や立方体の体積 | |
1 | 比例 | |
1 | 小数のかけ算 | |
1 | 小数のわり算 | △ |
1 | 合同な図形 | |
2 | 図形の角 | * |
2 | 偶数と奇数、倍数と約数 | ◯ |
2 | 分数と小数、整数との関係 | |
2 | 分数のたし算とひき算 | ◯ |
2 | 平均 | ◯ |
2 | 単位量あたりの大きさ | ◎ |
2 | 速さ | ◎ |
2 | 四角形と三角形の面積 | * |
3 | 割合 | ◎ |
3 | 帯グラフと円グラフ | △ |
3 | 変わり方調べ | ◯ |
3 | 正多角形と円周の長さ | |
3 | 角柱と円柱 | * |
◎は最も重要度が高い/*は単元の一部で重要度が高い/◯・△という順に重要度が低くなる
単位量あたりの大きさ
平均
「平均=合計÷個数」は多くの子は理解できるのですが、「平均×個数=合計」となると、理解できない子が多くなります。平均が一つの値として求まるので、元のばらばらだった値がならされて、同じ値になったのがイメージできていないのかもしれません。
こみぐあい、人口密度
こみぐあいは、単位面積あたりの人数の大小では理解しやすいが、1人あたりの面積の大小では理解できない子もいます(大小が逆になるから)。
速さ
速さ
速さは、「単位量当たりの大きさ」の中の一つとして勉強しますが、苦手とする子も多くいます。
「み・は・じ」あるいは「き・は・じ」という公式で覚えたという人も多いのではないでしょうか?
速さについては、中学数学で頻出の内容ですし、高校では物理でも出てきます。
「み・は・じ」の公式だけで覚えている子は中学校や高校でつまづくことが多いです。
「み・は・じ」の公式に頼って、問題文の内容を理解しないまま、適当な数字を探して答えを出そうとするからです。
子どもたちにとって速さの問題が難しいと感じるのは、2つの量が入っているからだと思いますが、単位あたりの量が分かっていれば、スムーズに理解できるはずです。
したがって、単位量あたりの大きさとしての「速さ=道のり÷時間」だけを覚えておけばいいはずで、道のりや時間は、いくつ分を求める、あるいは、比・比例を利用する考え方で解けばよい。
私個人としては、この公式はあまり使わない方がいいと思い、指導のときでもなるべく使わないようにしています。
また、時間、分、秒の単位変換でもつまづく子どもは多いですね。
時間の単位はmやgのような10進法とは違って60進法であることを意識することが大事です。
割合
割合
割合は小学校の算数の中でも最も苦手とする子が多い単元です。
中学生や高校生でも割合の問題が得意だという生徒はあまり見たことがありません。
教科書の説明では、「もとにする量を1として、比べる量がいくらにあたるかを表した数を割合といいます」となっています。正直、ちょっと分かりづらいですね。
「基準となる量を1として、比べる量が何倍になっているかを表したものが割合である」と説明した方がわかりやすいと思います。
しかも最終的には、「割合=くらべる量÷もとにする量」「くらべる量=もとにする量×割合」「もとにする量=くらべる量÷割合」というような公式として覚えさせる。
これでは、割合というものが何を表しているのか理解するのは難しいと思います。
百分率は、全体を100として、歩合は全体を10としてみている
基準が変われば割合も変化してしまいます。
だから、何を1としているかを押さえておくことが大事になります。
割合の関係を線分図で表してから求めたい値を計算する。
この感覚を身につけることが大事になります。
帯グラフと円グラフ
グラフの作成では、それぞれの項目の割合をスムーズに計算(わり算)できるようにします。
また、グラフの読み取りでは、基準が異なる2つのグラフを比較するときは、それぞれのグラフの割合の数値ではなく、実際の数値を使うことに注意が必要です。
小数のわり算
小数のかけ算はあまり問題にならないのですが、小数のわり算は苦手にする子が多いです。
小数点の移動、あまりに小数点をつけるなど、計算過程が複雑なのが原因です。
計算後に検算(たしかめ算)をすることも一つの対策ですが、それよりも計算前にがい数で商やあまりの見当をつけることを身につけてほしいです。
倍数と約数
倍数、公倍数、最小公倍数
倍数は2倍、3倍、…と整数をかけていくので、分かりやすいです。
公倍数は最小公倍数の倍数なので、最小公倍数を求めれば公倍数が求めやすいです。
分母の異なった分数のたし算やひき算の計算で通分するときにも最小公倍数を使います。
約数、公約数、最大公約数
最大公約数の約数は公約数である。
約数は、例えば12の場合、1と12、2と6、3と4というように、2数の積が12になる組み合わせで見つけるといいです。
最大公約数は分数の約分のときに使われます。よく使われる2数(12と15、12と18など)の最大公約数を知っていると約分が1回でできたりします。
最小公倍数と最大公約数の文章題
「もっとも大きいもの」=最大公約数、「もっとも小さいもの」=最小公倍数というように、問題文の言葉だけで答えを出している子もいるようです。
問題の条件を満たすものをいくつか見つけて、最小公倍数を使うのか、最大公約数を使うのかを判断できるようにしましょう。そうすれば応用問題にも対応できます。
↓公倍数と公約数の発展的な話はこちら↓
分数のたし算とひき算
分母の異なる分数どうしのたし算とひき算です。
できれば、なぜ分母の数字をそろえる「通分」が必要なのかを図を使って説明できるといいですね。
計算する上では、通分や約分、仮分数と帯分数の変換がスムーズにできるようにする。
また、帯分数のたし算やひき算では、繰り下がりや繰り上がりができるようにしましょう。
図形の単元
「図形の角」
五角形や六角形などの多角形を三角形に分解することによって内角の和が求められるという原理は大事です。
実際にいろいろな多角形を定規やコンパスを使って描いて確かめてみる。そういう姿勢を大切にしてください。
「三角形と四角形の面積」
三角形や平行四辺形で底辺と高さをどんな方向からでも見つけられるようにしてください。
↓具体的な内容はこちらから↓
三角形の底辺と高さが同じであれば、形が変わっても面積は同じです。
↓具体的な内容はこちら↓
平行四辺形の底辺と高さが同じであれば、形が変わっても面積は同じです。
↓具体的な内容はこちら↓
平行四辺形の等積変形(PDF)
「角柱と円柱」
小4では直方体や立方体でしたが、小5では三角柱や円柱などに発展します。
見取図や展開図から立体を見分けることだけでなく、実際に自分で見取図や展開図をきれいに描けるように練習してください。描くことでしか分からないことがあるので…。
滝沢進学塾では、図はできるだけノートに書くようにしています。最初はうまく描けなくてもいいので、何度も描く練習をすることを大切にしています。
変わり方調べ
規則性を見つける
規則性の問題は、高校で扱う数列の内容をもとにしていて、中学入試や高校入試でもよく出題されます。
同じ数ずつ増えるという規則性を見つけて、例えば、100番目の数はいくつかなどを計算で求めたりします。
具体的なものから共通した規則を見つける帰納的な考え方を身につけましょう。
小5算数特訓 実施要項&申し込み方法
小5〜小6が対象です。
月〜木、土日祝の16時〜20時のうち都合の良い日時を自由に選べます。
受講費60分×2回3,300円(税込・教材費込)
分かりやすい解説と問題の演習を併用させた個別演習指導を行います。
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