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2023年3月岩手県公立高校入試 注目すべき問題【理科 大問5】

2023年度岩手県公立高校入試問題

物理分野:電磁誘導(中2)と物体の運動(中3)の融合

【理科】大問5(2)

実験2で、次のア〜エのうち、このときのオシロスコープの波形として最も適当なものはどれですか。一つ選び、その記号を書きなさい。

2023.3.8付「岩手日報」県内公立高校入試問題より一部抜粋
2023.3.8付「岩手日報」県内公立高校入試問題より一部抜粋

理科の問題を解くために必要なのは、図やグラフを正確に読み取ることです。

さっそく実験1の図Ⅱと(2)のア〜エのグラフを比較してみます。

赤線は滝沢進学塾が加筆しました

実験1の図Ⅱのグラフを重ねてみました(実験2のグラフは黒線で、実験1のグラフは赤線)。

最初の山の頂点に注目すると、

実験2は実験1にくらべて、

アとイでは、頂点が少し左にずれていて、波が大きくなっている。

ウとエでは、波の向きが逆ですが、頂点は少し左にずれて、波が大きくなっている。

ここで、オシロスコープの波特徴を整理しておきます。

・オシロスコープの波形は、コイルの誘導電流の大きさと向きを示している。

・コイルの誘導電流が大きくなると、オシロスコープの波の大きさが大きくなる。

→ア、イ、ウ、エのすべてが当てはまる

・コイルに流れる電流の向きが逆になると、オシロスコープの波は逆になる。

→ウ、エが当てはまる

このことから、コイルの誘導電流の大きさと向きを確認すればよいことが分かった。

ここで、誘導電流の性質について整理しておきます。

・コイルの巻き数が多いほど、誘導電流は大きくなる。

・磁石の強さを大きくすると、誘導電流は大きくなる。

・コイルを通過する速度を大きくすると、誘導電流は大きくなる。

・磁石のN極とS極を入れ替えると、誘導電流の向きが逆になる。

そこで、実験内容を確認してみると

コイルの巻き数は変わっていない。

→誘導電流の大きさや向きは変わらない。

磁石の大きさや向き、強さは変わっていない。

→誘導電流の大きさや向きは変わらない。

これらから、ウとエは電流の向きが変わっているので、不適。

アのグラフは、最初の波の頂点(上側)が小さく、2番目の波の頂点(下側)が大きい。

イのグラフは、最初の波の頂点(上側)が大きく、2番目の波の頂点(下側)が小さい。

違いは分かりましたか?

波の大きさの変化は、コイルを通過する棒磁石の速度の変化によることに気づきます。

実験2は実験1に比べて、板の角度を大きくなっていることが分かります。

板の傾きが大きくなっている。

→力学台車にはたらく力(重力の分力)が大きくなる

→コイルを通過する速度が大きくなる

→コイルの誘導電流が大きくなる

→オシロスコープの波が大きくなる

また、力学台車がコイルを通過する速度が大きくなる

→コイルに到着する時間がわずかに速くなる

→オシロスコープの波の頂点が左にずれる

さらに、コイルに近づくN極とコイルから遠ざかるS極の速度を比べると、S極の方がN極よりわずかに速度が大きくなる。

→最初の波の頂点(上側)が小さく、2番目の波の頂点(下側)が大きくなる。

以上のことから、正解はアとなります。

問題自体は高校入試の標準レベルですが、理科の入試問題を解くために必要となる実験結果の考察と根拠を見出して論理的に解く問題として取り上げました。

理科の問題を解く時に意識すること
・図やグラフを正確に読み取る
・問題文を正確に読み取る
・実験結果の根拠や原因を考える
・教科書で習った事項を引き出す

この記事を書いた人
滝沢進学塾

歳弘 明(としひろ あきら)
滝沢進学塾塾長(指導歴20年)
岩手県出身/盛岡一高卒/北海道大学農学部卒
勉強や受験で困ったときの強い味方。指導対象は小学生、中学生、高校生。塾長が学年や教科を横断的、総合的に指導するのが特徴。

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