【理科】2023年岩手県公立高校入試「差がついた問題」

岩手県公立高校入試

昨年度から岩手県教育委員会によって岩手県公立高校入試の分析結果が公表されるようになりました。

その分析結果から上位層と中上位層で「差がついた問題」に注目して解説していきます。

S層は入試得点が76点〜100点の上位層。
R層は入試得点が51点〜75点の中上位層。

2023年理科『物理分野』の比較

【物理分野】S層(上位層)とR層(中上位層)の正答率を比較したグラフ

【物理分野】S層(上位層)とR層(中上位層)の正答率の比較

大問小問S層正答率R層正答率差(S−R)単元
1(5)95%83%12
1(6)82%68%14慣性
4(2)482721水圧
4(5)97%75%22エネルギー
5(1)97%80%17磁界
5(2)80%44%36磁界
5(3)80%3545磁界
5(4)62%3329磁界
2023年度岩手県公立高校入試結果分析【理科】(S層正答率とR層正答率)

物理分野の正答率は他の分野と比べて全体的に低くなっています。

物理分野はさまざまな現象に対して数学的考察が必要であるため、理解しにくいことが原因であると考えます。

教科書の説明や図、写真などを利用して、自分で説明できるようにしておきましょう。

また、問題を解くことで理解が深まるので、解説をよく読んでみましょう。

S層(上位層)内で差がついた問題

◉応用:大問4(2)水圧の変化(S層正答率48%) 

教科書では水中に物体を沈めた時の水圧は深さに比例することを習います。

入試問題では、水の量が変化する時に水圧がどう変化するかを考察するものでした。

少し戸惑うかもしれませんが、物理の原理は一つしかないので、それを思い出せば解けるはずです。

2023年3月岩手県公立高校入試 注目すべき問題【理科 大問4】
2023年3月7日実施の岩手県公立高校入試の理科の問題から注目すべき問題を選んで解説しています。今回は大問4(2)の「水中にはたらく力」(中3理科)に関する問題です。基本的な問題なので、きちんと理解しておきましょう。

◉応用:大問5(4)仕事とエネルギーの変換効率の計算(S層正答率62%)

計算問題は全体的に正答率が低くなります。

仕事や変換効率は公式と単位をきちんと覚えておきましょう。

できれば公式を覚えるだけではなく、その公式が何を表しているのかを理解

S層(上位層)とR層(中上位層)で差がついた問題

◉応用:大問5(3) モーターの仕組み(S層80%、R層35%、SーR=45)

モーターの中にあるコイルの回転する仕組みは教科書にも一応載っていますが、学校では詳しく説明していなかもしれないので、自分で理解しておく必要があります。

教科書を確認したところ、東京書籍の理科(中2)は、磁界の向きと電流の向きによってコイルにはたらく力を説明している。一方、啓林館の理科(中2)は、フレミングの左手の法則で説明している。

個人的には、東京書籍の説明のほうが良いと思います。

◉応用:大問5(2) 磁石がコイルの中を通過する時の電流の変化(S層80%、R層44%、SーR=36)

斜面における物体の速さの変化とコイルに発生する誘導電流の変化を関連づけて考察する問題です。

誘導電流の大きさと向きの変化の原因を理解することがポイントです。

2023年3月岩手県公立高校入試 注目すべき問題【理科 大問5】
2023年3月7日実施の岩手県公立高校入試の理科の問題から注目すべき問題を選んで解説しています。今回は大問5の「電磁誘導」(中2理科)と「物体の運動」(中3理科)に関する問題です。融合問題なので、基本知識の関連を理解しておきましょう。

2023年理科『化学分野』の比較

【化学分野】S層(上位層)とR層(中上位層)の正答率を比較したグラフ

【化学分野】S層(上位層)とR層(中上位層)の正答率の比較

教科書改訂により高校から移行してきた単元であるダニエル電池が出題されました。

大問小問S層正答率R層正答率差(S−R)単元
1(7)6747%20状態変化
1(8)100%96%4物質の質量の割合
4(3)95%84%11化学変化と状態変化
4(7)692148水溶液
6(1)97%68%29イオン
6(2)95%76%19イオン
6(3)98%86%12電池
6(4)84%57%27電池
2023年度岩手県公立高校入試結果分析【理科】(S層正答率とR層正答率)

化学分野の正答率は、物理分野ほど低くはないですが、計算問題や単元によって正答率が低い問題が見られます。

S層(上位層)内で差がついた問題

◉基本:大問1(7) エタノールの蒸留の実験操作(S層正答率67%) 

選択肢のなかで紛らわしい表現があったため、正答率が低くなったと考えられます。

試験管で液体を熱するときは突沸を防ぐために沸騰石を入れるということは多くの生徒が知っているが、選択肢アの中の「赤ワインの沸騰を防ぐため」を勘違いしまったのではないか。

◉応用:大問4(7)ミョウバンの結晶の量を計算する(S層正答率69%) 

溶解度の典型的な計算問題です。

ポイントは溶かした水の量が100gではなく、40gだということです。

そのため、計算の難易度が上がり、正解率が低くなったと考えられます。

S層(上位層)とR層(中上位層)で差がついた問題

◉応用:大問4(7) ミョウバンの結晶の量を計算する(S層69%、R層21%、SーR=48)

R層は、最初から計算問題は解かないと決めている生徒も多いようなので、正答率が低くなっていると考えられます。

◉基本:大問6(1)イオンの化学反応式を書く(S層97%、R層68%、SーR=29)

これは、簡単な方ですが、R層の正答率は高くないです。ふつうの化学反応式を書く方が難しいです。教科書に載っているものはすべて書けるようにしておいてください。

◉基本:大問6(4)ダニエル電池(S層84%、R層57%、SーR=27)

今年度、初めて出題されました。

セロハンチューブではイオンは通過するが、ビニール袋ではイオンは通過できないということから解答を作ればよい。電池のところは、理解しにくいので、電池の仕組みやイオンについてしっかり勉強しておきましょう。

2023年理科『地学分野』の比較

【地学分野】S層(上位層)とR層(中上位層)の正答率を比較したグラフ

【地学分野】S層(上位層)とR層(中上位層)の正答率の比較

大問小問S層正答率R層正答率差(S−R)単元
1(3)84%59%25岩石
1(4)93%80%13惑星
3(1)95%83%12前線
3(2)78%64%14気象観測
3(3)80%65%15台風
3(4)85%44%41水蒸気量
4(1)56%26%30太陽の動き
4(4)97%69%28岩石
2023年度岩手県公立高校入試結果分析【理科】(S層正答率とR層正答率)

S層(上位層)内で差がついた問題

◉応用:大問4(1) 太陽の動き(S層正答率56%) 

夏至の日の太陽の動きによってできる影の変化を読み取る問題です。太陽の高度や太陽の位置の変化によって、地面に立てた棒の影のでき方を考察する力が必要です。

S層(上位層)とR層(中上位層)で差がついた問題

◉基本:大問3(4) 水蒸気量の計算(S層85%、R層44%、SーR=41)

湿度とはある気温における飽和水蒸気量に対する含まれている水蒸気量の割合なので、割合の計算ができれば、そう難しくはないです。

◉応用:大問4(1) 太陽の動き(S層56%、R層26%、SーR=30)

上記でも説明しましたが、ある変化に伴って現象も変化する。その原理は何かを理解しておくことが大事です。

◉基本:大問4(4) 石灰岩の特徴(S層97%、R層69%、SーR=28)

石灰岩は堆積岩であり、石灰岩とチャートはともに生物の死骸が積み重なってできた岩石だが違いがあるということを知っていれば正解できる。

◉基本:大問1(3) 火成岩の鉱物の割合(S層84%、R層59%、SーR=25)

教科書には載っていない図なのでとまどったかもしれません。粒の大きさは火山岩か深成岩かの違い、有色鉱物の量はマグマのねばりけの違いで判別します。

2023年理科『生物分野』の比較

【生物分野】S層(上位層)とR層(中上位層)の正答率を比較したグラフ

【生物分野】S層(上位層)とR層(中上位層)の正答率の比較

大問小問S層正答率R層正答率差(S−R)単元
1(1)100%96%4血液
1(2)100%96%4動物
2(1)100%95%5植物
2(2)100%87%13植物
2(2)98%90%8植物
2(3)82%57%25植物
2(4)70%50%20植物
4(6)93%70%23植物
4(8)90%83%7動物
2023年度岩手県公立高校入試結果分析【理科】(S層正答率とR層正答率)

S層(上位層)内で差がついた問題

◉基本:大問2(4) 光合成の実験(S層正答率70%)

 光合成では二酸化炭素を吸収して酸素を排出する。呼吸では酸素を吸収して、二酸化炭素を排出する。溶液の変化は水に少しとける二酸化炭素の量の増減でアルカリ性や酸性を示す。

S層(上位層)とR層(中上位層)で差がついた問題

◉基本:大問2(3) 光合成の対照実験(S層82%、R層57%、SーR=25)

対照実験とは、ある条件の効果を調べるために他の条件を同じにして、その効果を確認する実験。植物の有無による効果を確かめるために植物が入っていない試験管を用意します。

実験の仕方や実験の手順、実験の注意事項などは、「なぜそうするのか?」を考えてみましょう。

◉基本:大問4(6) 植物の分類(S層93%、R層70%、SーR=23)

アサガオ、タンポポ、ユリの花の共通点を見つける問題。共通点は双子葉類であることなので、双子葉類の特徴に適するものを選べばよい。

植物名だけを覚えるのではなく、実物や写真を見たりして、植物のイメージを持つようにしましょう。

【数学】2023年岩手県公立高校入試「差がついた問題」
昨年度から岩手県教育委員会によって岩手県公立高校入試の分析結果が公表されるようになりました。 その分析結果から上位層と中上位層で「差がついた問題」に注目して解説...

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